研究内容:東北大学大学院医学系研究科 多発性硬化症治療学寄附講座
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多発性硬化症と視神経脊髄炎における末梢血リンパ球(B細胞)の解析

 多発性硬化症(MS)視神経脊髄炎(NMO)はともに自己免疫疾患が関与していると考えられていますが、詳しい機序は解っていません。MSでは末梢血B細胞を除去するモノクローナル抗体治療(リツキシマブ)が有効と報告され、その病態にB細胞の関与が示唆されています。また、NMOでは血清に抗アクアポリン4(AQP4)抗体が出現し、B細胞が病態に関与していることが明らかです。我々はMSおよびNMOの末梢血リンパ球を用いてB細胞の活性や抗体産生の仕組みを解析しています。

髄液オリゴクローナルバンドの解析

髄液オリゴクローナルバンドの解析
 多発性硬化症(MS)患者さんにおいて、血清には存在せず髄液にのみ検出されるオリゴクローナルIgGバンド(OB)が診断上有用であり、東北大学神経内科では病態との関連を検討してきました。これまでB細胞を活性化し、抗体産生細胞に分化させるためにはT細胞による刺激と抗原刺激が必要と考えられてきましたが、最近ある種のサイトカイン(IL-21など)やToll様受容体リガンドなどによってT細胞非依存性に抗体産生が促されることが示され、自己免疫疾患における新たな病態解明に繋がると期待されています。

 我々は、多発性硬化症の病変で増加しているサイトカインを組み合わせて刺激することで、T細胞非依存性、抗原非依存性に末梢血正常B細胞を活性化し、抗体産生細胞に分化させることに成功しました。これによって生み出されたIgGは多発性硬化症の髄液中で増加しているのと同じIgG1アイソタイプであり、電気泳動することによってOBが生み出されます。このことにより、多発性硬化症髄腔内で特定のクローンを持つB細胞がサイトカインによって非特異的に活性化されIgGを増加させている仕組みが見えてきました。

これまでMS髄腔内のIgGは補体依存性にミエリンなどの組織障害に関与していると考えられてきましたが、T細 胞非依存性、抗原非依存性に増加しているIgGが組織障害を引き起こすとは考えにくく、他の役割についての検討が必要と思われます。多発性硬化症におけるOBの意義は未だに不明ですが、我々はOBが多発性硬化症で特異的に出現するメカニズムを世界で初めて解明しつつあります

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視神経脊髄炎における抗アクアポリン4抗体の病態への関与の研究

 視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica:NMO、別名Devic病)は、19世紀より多発性硬化症との異同が議論されてきた視神経と脊髄を病変の主座とする中枢性炎症疾患です。

 2004年、メイヨークリニックと我々との共同研究によって、中枢神経系の軟膜下や血管周囲に特異的に反応する抗体NMO-IgGが見いだされ、2005年にその対応抗原がアストロサイトの足突起に高密度に発現するアクアポリン4(AQP4)であることが報告されました。

 我々は、世界に先駆けて抗AQP4抗体の病態機序に関する一連の研究を報告しています。

抗体の病態への関与の研究
 視神経脊髄炎の剖検脊髄病変における免疫組織学的検討では、本来AQP4の豊富な脊髄灰白質や白質の血管周囲においてAQP4は欠落し同部位でアストロサイトのマーカーGFAPも消失しており、またAQP4・GFAPの欠落とは対比的に髄鞘蛋白(MBP)は比較的保存されることを初めて報告し、視神経脊髄炎病変は多発性硬化症の脱髄病変とは異なったアストロサイト障害が関連することを明らかにしました。

 東北大学神経内科で行った抗AQP4抗体の検討では、抗AQP4抗体は視神経脊髄炎と診断された患者の91%、再発性視神経炎や横断性脊髄炎を呈したハイリスク群症例の85%で陽性になる一方で、多発性硬化症(MS)や対照群では0%であり、非常に強い疾患特異性があります。また抗AQP4抗体価は臨床症状と関連した動態を示す事が判明しています。今後は疾患特異的なマーカーとしてだけでなく、AQP4やアストロサイトの障害から神経系の障害に導かれる病態機序の解明が期待されます。

 当講座において、抗AQP4抗体価などを指標とした臨床的意義の検討、細胞モデルを使用した作用機序の検討、病理学的検討、有効な治療法の臨床的検討など、多角的な研究を行っております。

 また、視神経脊髄炎における抗AQP4抗体の測定の依頼は医療機関を通じて受け付けております。測定依頼書をお送りしますのでお問い合わせ下さい。依頼についてはこちらを参照ください。

多発性硬化症および視神経脊髄炎におけるQOL研究

 医療技術の進歩、慢性疾患の増加などによって疾患をもちながら長く日常生活を送る患者が増えている現在、その生活の質(Quality Of Life: QOL)を維持することの重要性が認識され、医療者による身体機能や治療効果の評価だけではなく患者自身の主観が重視されるようになっています。多発性硬化症(MS)の健康に関連するQOLについては欧米では約20年前から研究が行われるようになりましたが日本ではまだほとんど行われていません。

 我々は多発性硬化症と視神経脊髄炎(NMO)におけるQOLを解析し、治療内容、重症度などとの関連を探りながら診療に役立てることを考えています。

海外研究室との共同研究

現在当講座では現在下記の海外施設などと国際共同研究を進めています。


マギル大学モントリオール神経学研究所
http://www.mni.mcgill.ca/neuro_team/neuroimmunology/
ウィーン大学脳研究センター
http://www.meduniwien.ac.at/typo3/?id=2168
カリフォルニア大学サンフランシスコ校MSセンター
http://neurology.ucsf.edu/msc/team.htm
韓国国立がんセンターMSクリニック
http://www.ncc.re.kr/english/index.jsp
タイ国立マヒドン大学シリラート病院MSクリニック
http://www.si.mahidol.ac.th/department/Medicine/
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