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Q: 多発性硬化症と視神経脊髄炎は違う病気なのですか?

多発性硬化症や視神経脊髄炎に関してよくある質問をわかりやすくまとめました。

A: 多発性硬化症は原因のよくわからない病気で、脳や脊髄(せきずい)、視神経(ししんけい)に繰り返し炎症(えんしょう)を起こし、様々な神経症状を呈します。炎症は自然に治まったり、ステロイドで治まったりするのが特徴です。MRIという検査で脳や脊髄に炎症の痕がみられ、髄液ではIgGと呼ばれるタンパク質が増えるのが特徴です。これらの特徴を示す病気は多発性硬化症以外にも沢山ありますが、「原因不明」であることが、多発性硬化症であることの大前提になります。
 視神経脊髄炎(NMO)も、多発性硬化症と同じように脳や脊髄、視神経に繰り返し炎症を起こし、神経症状を呈しますので、同じタイプの病気と言えます。ただし、多発性硬化症で用いられる再発予防の治療が視神経脊髄炎では効果がなく、むしろ病気を悪くすることがあることがわかってきました。また、視神経脊髄炎では血液中に抗アクアポリン4抗体という抗体が80%以上の確率で陽性になり、この抗体が病気の原因に関わっていると考えられてきています。
 以前は私たちも「抗アクアポリン4抗体陽性多発性硬化症」などとややこしい病名をつけたことがありますが、現在は「視神経脊髄炎」として多発性硬化症から病名を分けています。「原因不明」であるという多発性硬化症の大前提に当てはまらなくなってきたからです。そしてなにより、違う病気としてそれぞれの治療法を明確にすることが重要だと考えています。

Q: インターフェロン・ベータはいつ始めればいいのですか?

A: 多発性硬化症と診断されたら、すぐに始めるのが望ましいと思います。最初の症状が出た時にはすでに脳の中ではかなりの変化(神経の障害、脳の委縮など)が始まっています。できるだけ脳の変性を防ぐために診断がついたら1日でも早くインターフェロン・ベータを開始するべきだと思います。また、1回でも多くの再発を防ぎ、将来の障害が重くならないようにする必要があります。
 初発時からインターフェロン・ベータを始めた患者さんは、投与を受けていない患者さんと比較して明らかに病気の進行が抑制されていることが5年間の追跡調査でわかっています。

Q: インターフェロン・ベータはいつまで続ければいいのですか?

A: 残念ながら、インターフェロン・ベータを中断すると、その効果はなくなると言われています。インターフェロン・ベータは投与期間中の再発を予防し、病気の進行を抑えますが、病気そのものを治す薬ではありません。したがって、インターフェロン・ベータに代わる画期的な薬が開発されるまでは打ち続ける必要があります。
 ただし、ここ数年の医学の進歩、創薬の進歩は目覚ましく、そう遠くない将来に、より効果的で安全な薬が開発されると信じています。

Q: 視神経脊髄炎にインターフェロン・ベータは効かないの?

A: インターフェロン・ベータが多発性硬化症に使用され始めたころはまだ視神経脊髄炎の概念はなく、視神経脊髄型多発性硬化症として多くの患者さんがインターフェロン・ベータの投与を受けていました。当院でも何人かの視神経脊髄型多発性硬化症(のちに視神経脊髄炎と判明)の患者さんが多発性硬化症としてインターフェロン・ベータの治療を受けましたが、全員がほどなく副作用などのために脱落しました。それ以降、当院では視神経脊髄型多発性硬化症(現在は視神経脊髄炎)と診断される患者さんにはインターフェロン・ベータの投与はしない方針としていました。しかしながらその後、多くの施設から視神経脊髄型多発性硬化症にインターフェロンを投与したら病気が悪くなったとの報告があり、その後の検査でそれらの患者さんの多くが抗アクアポリン4抗体が陽性の視神経脊髄炎であったことがわかっています。
 当院では当初から視神経脊髄炎(当時の視神経脊髄型多発性硬化症)の患者さんにはインターフェロン・ベータを投与しない方針であったため、その効果について結論を出すデータを持っていませんが、視神経脊髄炎にはインターフェロン・ベータの適応はないと考えています。
 ただし、視神経脊髄型多発性硬化症と診断をされていた患者さんでも、抗アクアポリン4抗体が陰性で、オリゴクローナルバンドが陽性などから多発性硬化症と診断される場合にはインターフェロン・ベータの効果が非常に期待できるため、積極的に投与を勧めています。

Q: 視神経脊髄炎に血液浄化療法は有効ですか?

A: 視神経脊髄炎の再発時の治療として、血液浄化療法は効果があると考えています。おもな働きは血液中の抗体(抗アクアポリン4抗体を含む)やサイトカインなどの炎症に関わるタンパク質を取り除くことで、病気の活動性を抑える効果があると考えます。ただし、抗体やサイトカインを産生するリンパ球の働きを抑えておかないと取り除いたタンパク質はすぐに産生されてしまう恐れがあり、血液浄化療法の前にはステロイド治療(ステロイドパルス療法)を受けておくのがより効果的であると考えます。
当院では1~3クールのステロイドパルス治療(1クールはメチルプレドニゾロン1gないし2gを3日間)の後、効果が乏しければ1週間以内に単純血漿交換療法(血液浄化療法のひとつ)を行うようにしています。週に2~3回、合計4~5回を目安にしています。置換液にはアルブミン製剤を用い、1回に循環血漿量(約40ml/kg)を目安に置換しています。これまでのところ、ステロイドパルス治療後の血漿交換療法の有効率は約70%です。
症状の改善は2週間以内に認めることもありますが、数か月くらいかかることもあります。

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